設計者の意図を読む「ゴルフコース設計の基本」

ゴルフ場のコースにも難易度があり、初心者でも安心して回れるコースやプロでも難しいコースなどゴルフ場やコース、そしてホールによって様々です。

世界中に数えきれないほどあるゴルフコース。どれを見ても全く同じコースは存在しません。

今回は、そんなゴルフコースとそのコース設計者に焦点をあててご紹介します。

1 コース設計者の意図を読むということ

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ゴルファーはラウンドを回っているとバンカーや池、木や傾斜など様々なハザードに悩まされることが多いですよね。

例えばアプローチショットの際にグリーン手前にバンカーがあったり、ちょうど打ちたい方向に木があって邪魔していたりなど…。

ゴルフ場はコース設計家によってデザインされています。それらの障害物は全てコース設計者の狙いなのです。

では全く同じコースはないとされる中で、攻略法も毎度異なるのでしょうか?

実はコース設計には共通の手法があるのです。

そして、その手法は長い長いゴルフの歴史の中で生まれた理論をベースとして設計されています。

そのためコースを攻略するには「コース設計者の意図を読むこと」がとても重要と言えるでしょう。

2 コース設計の基本

みなさんはゴルフコースにおける「プロトタイプ」という言葉をご存知ですか?

「プロトタイプホール」と言われるこの言葉。アメリカゴルフ界の父と言われる「C.Bマクドナルト」によって提唱された言葉で、8つのホール設計の定義のことを言います。

そして現在はこの8つの定義から16、さらに32の設計理論へと枝分かれし拡大しているのです。

今回はその基本となった8つのプロトタイプホールをご紹介していきます。

2-1 ケープホール

ケープホールとは、フェアウェイの手前に池や海などのハザードを設けること。

さらにグリーンの3方が池に囲まれたタイプの設計もケープホールと呼ばれます。

このケープホールは手前にハザードがあることで、ゴルファーにプレッシャーを感じさせることが目的。

そしてその日の天候や風の状況、ゴルファーのレベルによって攻略ルートを選ばせるという設計なのです。

そんなC.Bマクドナルドが編み出したケープホールは、現在でも多くのゴルフ場で採用されています。

中でも代表的なのが、アメリカ・ニューヨーク州のナショナルゴルフリンクスの14番です。

2-2 パンチボウルホール

グリーンの周りが砂丘やマウンド、そして土手で囲まれ、グリーン面には縦のコンターが入っている一部に歪みを持つホールをパンチボウルホールと呼ばれます。

パンチボウルホールではグリーン周りからもスロープが入りグリーン面のどこかにすり鉢状のポイントが生まれるため、より精度の高いアプローチショットが求められます。

そしてパンチボウルホールと併せて覚えておきたいのが、「パンチボウルグリーン」。

パンチボウルグリーンとは周囲にバンカーが配された、四角く小さなグリーンのことです。

バンカーの中心にグリーンがあるようなイメージで四方からのスロープがグリーン面に流れ込み、交差するポイントがすり鉢状になっています。

まるで郵便切手の上に打つようであることから、「ポステージスタンプ」と呼ばれることも。

2-3 ビアリッツホール

ビアリッツホールとはグリーンの中央に溝があるようにえぐれた長方形のグリーンのこと。

これはスコットランド人のコース設計家であるウィリー・ダンによって南フランス・ビアリッツのゴルフコースに作られたのが始まりとされています。

海越えのロングパー3のホールで、グリーン手前には深い溝がありました。

それを見て感銘を受けたC.Bマクドナルドは、アメリカに同じようなホールをつくり「ビアリッツ」と名付けました。

そしてビアリッツホールは一般的な二段グリーンとは異なります。

上段にピンがある場合、一度下ってからのぼるような難易度の高いパッティングが要求されるのです。

2-4 ロードホール

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ロードホールとは右ドッグレッグのホール。

横長のグリーンが配置され、そのグリーンのフロントは右サイドを向いています。

そしてグリーン手前中央には一打で脱出することが困難な「ロードバンカー」があるのが特徴です。

そんなロードホールの中でも最も有名なのがセントアンドリュースの17番ホール、Par4。

一度捕まるとなかなか抜け出せないロードバンカーでガードされたグリーンを、どのように攻めるかが重要です。

”ドッグレッグラインぎりぎりのティーショットで攻めて2打目をロードバンカーを避けてアプローチショットする”など自分のスキルを考慮し、ティショットからしっかりとした戦略立てを要求されます。

2-5 レダンホール

「レダン(Redan)」とは「要塞」のこと。

縦長のグリーンがティから見て斜め45度の角度で配置されたホールのことです。

グリーンの左手前には深いバンカー、そしてグリーンの奥は深いラフでグリーン面を含めてほとんどブラインド状態。

このホールは直接ピンを狙うか、ハザードを避けて安全策をとるなど様々な攻略ルートがあります。

ゴルファーのレベル、そして風の向きや強さなどを考慮して攻めることが求められるホールなのです。

2-6 ショートホール

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日本ではPar3のホールを総称して「ショートホール」と言います。一方アメリカやイギリスでは距離によって「ロングのPar3」と「ショートのPar3」とで区別されているんです。

そんなショートホールは「ショートのPar3」に値し、距離が140ヤード以下ほどでグリーンの四方が池やバンカーなどのハザードでガードされていることを指します。

一見距離が短く得できるホールであると思われがちですがハザードで囲まれることとグリーンをグランドレベルよりも1.5mほど高くすることで、場合によっては3パット以上もありえるのです。

そのためゴルファーには距離感と方向性の正確さが求められます。

2-7 アルプスホール

アルプスホールとはグリーン手前に高いマウンドが設けられ、グリーンが見えない「ブラインドホール」のルーツとされているホール。

ブラインドホールやアルプスホールはターゲットが見えないというプレッシャーの中で、ゴルファーのイマジネーションとショットの正確さが求められます。

アプローチショットの際にターゲットが見えないまま直接グリーンを狙うか、それとも手前で刻んでいくかゴルファーが悩みやすいのもこのアルプスホールの特徴です。

2-8 イーデンホール

イーデンホールとは右ドッグレッグのような形のグリーンで、グリーンの4分の1を占める前部に上り斜面が活用されています。

さらにグリーン上にはフラットな面がわずかな面積しかなく、それを外すと周りを囲むバンカーに転がり落ちていってしまいます。

パッティングラインをしっかりと読めるような所にボールを落とせるようにしっかりとアプローチショットを打たないと、2パットどころか3〜4パットになる可能性もありスコアを大きく崩す原因にもなるのです。

3 知っておきたいコース設計者「ピート・ダイ」

3-1 ピート・ダイについて

C.Bマクドナルドが提唱した8つのプロトタイプホールの影響を大きく受け、数多くのコース設計を手がけたのが「ピート・ダイ」とよばれる人物。

実は「ONEWAY GOLF CLUB」もまたピート・ダイ氏によって設計されたゴルフ場なんです。

彼は1925年、アメリカ・オハイオ州生まれ。

父親がゴルフ場を所有していたこともあり、幼少期からゴルフを始めたそうです。

若い頃からゴルフコースのメンテナンスの仕事に関わることで、常にゴルフに触れる生活をしていました。

ゴルフの腕前も相当で、オハイオハイスクール選手権で優勝したり1957年には全米オープンにも出場。

当時の成績はあのジャック・ニクラウスやアーノルド・パーマーよりもよかったそうです。

そしてコース設計の道に進んだのは彼が36歳のころ。

保険のセールスマンから転身してゴルフコースの設計家になる決断をしました。

妻と始めた「ダイ・デザイン社」はそれ以来、ファミリービジネスとして現在まで続いているのです。

当時は「ヒロイックデザイン」で知られるコース設計家、ロバート・ トレント・ジョーンズなどのスタイルを積極的に設計に取り入れていました。

しかしスコットランドに出向いたことでクラシックなゴルフコースの設計知識などの手法を学び、それらを取り入れるようになります。

そこからピート・ダイはかなりタフで有名なコースデザインを設計する設計家として、世界トップ100コースに入る多くのコースを手がけました。

数々のメジャー大会が開催されるゴルフコースから、なんと日本のゴルフコースまで手がけているのです。

ちなみに彼が日本で最初に設計を手がけたコースは、栃木県日光市にある「ピート・ダイG.Cロイヤルコース」。

それ以外にも計20以上の日本のゴルフコースの設計を手がけています。

3-2 ピート・ダイ設計のコースの特徴

ピート・ダイは1963年にスコットランド出向き、クラシックなコース設計の知識を学んでいます。

そこから彼はポット・バンカーや枕木のような木の使い方、そして小さなグリーンを取り入れるようになりました。

中でも彼のトレードマークでもあるのが「アイランドグリーン」。

アイランドグリーンとはグリーンの周りが池に囲まれている「浮島グリーン」のことです。

一番有名なのが、TPCソーグラス。アメリカでもっとも難しいゴルフコースのひとつとして紹介されるほど難易度が高いコースです。

“All or Nothing”と言われるようにティーショットを失敗して池に入れるかグリーンオンかの2つであるため、プレーしている本人だけでなく観ている観客もドキドキするようなホールを作るのが彼のコースの特徴とされています。

このアイランドグリーンは、プロトタイプホールでご紹介した「ショートホール」の理論を活用したもの。

このようにピート・ダイは8つのプロトタイプホールをベースとして数々のゴルフコースを手がけ、世界をリードしてきたのです。

まとめ

今回は、ゴルフコースの「設計」に焦点を当ててご紹介しました。

ゴルフコースは自然の地形にそって作られているだけでなく、バンカーや池などのハザードの配置もしっかりと「設計」されているのです。

それらを見てどんな戦略が裏にあるのかを想像しながらコースの攻略を考えることはとても重要です。

設計者の意図を考察してプレーすることで、通い慣れたゴルフコースもまた違った視点で楽しめるのではないでしょうか?

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